2011.09
【著者:行 達也】
音楽の力(1/2)
東日本大震災の爪あとは今だに多くの人々を苦しめて、被害の大きかった地域ではまだまだ先の見通しなど立てれる状況ではないようです。しかし東京のテレビでは放射線による食物被害に関して報道があるだけで、震災そのものに言及することは、ほとんどありません。このギャップを埋めてくれるTwitterがあって本当に良かったと思います。ちょうど震災前に自分のバンドのファンになってくれた子が南相馬市に今も住んでいて、Twitterで情報を聞かせてもらっています。今回はこの災害で果たした音楽の役割について考えてみたいと思います。
人が何か悲しいことに直面した時に音楽によって癒されることがあります。阪神淡路大震災の時も地元のFMが軒並み報道オンリーにシフトしていた最中、FM802だけはいつも通り音楽を中心としたプログラムでオンエアを続けました。人によっては(主に部外者)不謹慎だとクレームを付けたようですが、この時にかかっていた坂本九「見上げてごらん夜空の星を」に励まされたという人を何人も知っています。ソウルフラワーユニオンの「満月の夕べ」もまた慰問先の老若男女の心に響いたようです。
今回の震災でも、仙台を中心にチェーン店を構えるブックセンター湘南の千葉さんのお話によると“津波で流された好きな歌を買い直しに来るお客様が多い”とのこと。嗜好品とはいえ、いかに人間にとって(もちろん不要な人もいるでしょうけど)音楽が、歌が、必要とされるかがうかがい知れます。
私は音楽に携わっている人間として、当然何をするべきか考えました。ご多分に漏れず、店でチャリティーライヴをやりました。他の周りの店もみんなやってました。それなりにお金も集まりました。とてもいいことだと思いました。名もなき一般市民である我々ができることはそういうことです。音楽そのもので被災地を癒すのではなく、音楽を利用して、金を集める。ここはすごく重要で、この部分を履き違えて、前者のつもりで現地に行ってしまったアマチュアのアーティストがいました。もちろん思いやる気持ちは大事ですが、求められていない以上はただのエゴです。事後、本人はかなり反省していましたが、実際にはプロというか芸能人でも現地の人を時に困らせているようです。地元の人にとっては「せっかく来てくれたから」という思いで、あまり文句も言えないんだと思います。まあ、とにかく音楽そのもので助けるというのは、それなりの人がやらない限り、意味がないと思います。ただ、ネームバリューだけでなく企画力や内容で受け入れてもらえることはあるとは思いますが。









