2010.05
【著者:行 達也】
「流通に乗せなくなったレーベルの話」(1/2)
近頃では、CDをリリースするにあたって、敢えて流通に乗せないレーベルもあるようです。つまり通常のCDショップでは置かないということになります。非常に残念な話です。レーベル側に立ってみると確かに流通を経由させることでマージンは減るので、ライヴ会場での手売りや直接ネットでの販売は割が良いでしょう。でも、CDショップはそんなに頼りなくなってしまったのでしょうか?その流通に乗せないことにした某レーベルの方に話を伺ってみました。
「もちろんすべてのアイテムを流通に乗せないというワケではありません。ただ、特に新人のように実績のないアーティストに対して、ゼロから頑張って取り組んでくれるというお店が本当に少なくなったのは事実で、それらのモノに関しては流通に乗せなくてもいいのではないかと考えたのです。つまり、情報を流したり、サンプルを送ったりすることで可能性がないワケではありませんが、実際に売れる数を考慮するとコストの方が高くつく場合もあるんです。熱心に取り組んでくれるバイヤーさんもいなくはないのですが、例えば20枚をオーダーしてもらったところで3ヵ月後に18~19枚が返品されるのなんて、本当によくある話なんです。結局、担当のバイヤーさんが頑張ってくれても、お店としては実績があり、大量に売れる見込みのあるヒットチャートアイテムがいいコンディションで販売されるので、我々のような零細レーベルだと、たいして目立たない場所で申し訳程度のディスプレイが付けられて、それで『はい、展開費用として○○円出してください』と言われても、本当に出すだけムダというか、余計に赤字になることだってあるんです」
耳が痛いというか身につまされる思いです。市場はどんどん悪化しています。当然、店として多種多様なアイテムを販売することで売上の地盤を固めたいところですが、実際は売場面積や場所効率の問題もあって、“店としての新人育成”がしにくい状況になってきています。某レーベルの方はさらにこう続けます。
「我々が今、注目しているのはCDショップ以外の店舗です。モノにもよりますが、例えば雑貨を中心としたセレクトショップに直接卸しています。今の人たちにとって、音楽がどういう立ち位置になりつつあるかを考えたときに、配信を中心にどんどん消費されるヒットチャートものと、インテリアのパーツとして、つまり生活のBGMとして扱われるものに大別できると思うんですよ。多少、暴論ですが。その後者を発信する上で、ある程度、店のカラーに沿ったアイテムに絞った在庫をしているセレクトショップはかなり有効だと考えます。この場合、ジャケットも重要な要素(見た目の良さ)となるので、今後のパッケージの可能性を感じることもできます」










