2016.10
【著者:村松 行人】
映像配信時代を生き残る
⑥高回転を実現する棚作りを考える(1/4)
モバイルに挑戦するプレイステーションPS4
去る9月7日SIEはニューヨークのプレイステーション・シアターでの記者会見でゲーム機プレイステーションPS4の新製品2機種を発売すると発表して日本でも話題となりました。
「据え置き型のゲーム機はモバイルゲームの普及でなくなるという推測もあるが私は信じていない」とはSIEの社長アンドリュー・ハウス氏のコメントですが、圧倒的な勢いのスマートフォン・ゲームの普及という厳しい市場環境の中で家庭用ゲーム機の根強いニーズと可能性を冷静に見据えているハウス社長の取組み姿勢は映像市場に関わる私たちにも大変参考になります。
2013年11月発売のPS4の現行機種の世界累計販売台数は4,000万台を超え、同時期発売のマイクロソフトXbox Oneの2,000万台、2012年発売の任天堂Wii Uの1,300万台を大きく引き離す家庭用ゲーム機のトップブランドです。世界中に熱狂的なファン層を抱え現在も好調に売れ続けているといわれるゲーム機が発売3年足らずでのモデルチェンジをする理由はいうまでもなくスマートフォン対策、つまり
① | スマートフォンの圧倒的な普及 |
② | ゲーム端末としてのスマートフォンの性能の高まり |
③ | 次々に新ゲームが登場してユーザーを飽きさせないスマートフォン |
④ | ポケモンGOの登場等を機に据え置き型のゲーム機から離れて手近な面白いスマートフォンゲームに流れるユーザー層の増加 |
⑤ | こうした流れを背景に任天堂がWii-Uの生産を終えること |
等があるようです。
目まぐるしく進化し変化を続けるスマートフォン、そこから登場するゲームの新製品、ゲーム市場におけるSIEのこれからの挑戦はそうした変化対応へのスピードではないでしょうか。
幸いなことに、映像エンタテイメント市場では前回も書きました通り最先端を走っていたNetflixの成長スピードが大きく減速してきました。減速の原因は、主に米国内の契約視聴者数の伸び悩みとグローバル市場での事業の停滞ですが、それ以前の問題として家庭にインターネット環境があること、さらにインターネットとTVが繋がっていなければSVODサービスは家庭に設定できないという映像配信サービスの壁があります。こうした映像配信メディアの特性を踏まえて冷静にパッケージへのニーズと可能性を見極めることが大切ではないでしょうか。