2009.12 No.309
【著者:千葉 隆弘】
ドント・ギブ・アップ ~名曲のもつ今日的意義とは~(1/3)
デビューアルバム『ザ・フェイム』で全世界に衝撃をもたらし「マドンナの再来」とも呼ばれるレディー・ガガ(LADY GAGA)ですが、その彼女が今年、ある楽曲のカヴァーに取り組みました。その楽曲とは、1986年にピーター・ガブリエルがケイト・ブッシュとのデュエット曲として発表した「ドント・ギブ・アップ(Don’t Give Up)」という、カントリー・バラードの名曲です。
今回は洋楽カタログ作品の再評価にも繋がるテーマとして、この曲を生んだピーター・ガブリエルの功績と、この曲がカヴァーされることの意義について述べたいと思います。
「孤高の天才」ピーター・ガブリエル
賢明な読者の方々には「釈迦に説法」かも知れませんが、あらためて彼のキャリアから振り返ってみましょう。
ピーター・ガブリエル(Peter Brian Gabriel)は1950年、イングランド南東部の都市サリー州ウォーキングで生まれました。1967年、当時通っていたパブリック・スクールの仲間らとともにプログレッシブ・ロックバンド「ジェネシス(Genesis)」を結成。彼はそのヴォーカリストとして頭角を現し、1969年にはプロデビューを果たします。
しかし、そのあまりにも奇抜で突出したステージ・パフォーマンスなどから徐々にグループ内で浮いた存在となってしまった彼は、1975年にジェネシスを脱退。ソロ・アーティストとしての活動をスタートさせます。1977年、ソロとして最初の作品となる『ピーター・ガブリエルⅠ』を発表した後、1982年までの6年間に計4枚のオリジナル・アルバムをリリースします。音楽的には、当時最新鋭の電子楽器として注目を集めたシンセサイザーをいち早く自身の楽曲に取り入れる一方、世界各地の民族音楽にも深い関心を示し、独自の音楽観にもとづく作品を発表し続けました。そして1986年、それまでの約2年半の制作期間を経てリリースされたのが、後に“80年代屈指の名盤”と称賛されることになる5枚目のオリジナル・アルバム『So』です。










