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2009.12 No.309

【著者:高野 雅晴】

電子書籍サービスが急拡大、米国では専用端末競争が過熱(1/2)

世界最大のオンライン書店であるアマゾン・ドット・コム社は、電子書籍端「Kindle 2」を2009年10月から日本を含む100カ国以上で発売した。Kindle2は6型電子ペーパーをディスプレイとして搭載する。端末に内蔵した3G無線通信機能を利用してコンテンツをダウンロードできる。この際、通信料を支払う必要がないことが最大の特徴である。米AT&Tの国際ローミング回線を利用することで日本国内でも通信料を払わず、コンテンツをダウンロードすることが可能だ。さらに同社は2009年11月に米国以外でも利用できる「Kindle for PC」の無償ダウンロード・サービスを開始した。現在ダウンロードできるのはWindows版のみだが、Mac版もリリースされる見込みである。ただし、現状はKindle2も1Kindle for PCも英語の電子書籍コンテンツのみを扱っており、日本語には対応していない。

米国の電子書籍市場で先行するアマゾンを追いかけるのがソニーである。2009年11月19日に開催した記者発表会で、同社は今後力を入れていくビジネスの一つとして米国を中心に展開する電子書籍事業を挙げた。ソニーの電子書籍端末「Reader」はグーグルとの提携などにより、無料で読めるコンテンツを100万冊以上取りそろえ、シェア60%を誇るアマゾンのKindleを追撃、35%とシェアを拡大している。

米国ではこのほか、書店大手のバーンズ・アンド・ノーブルが電子書籍端末「Nook」を2009年11月に発売するなど、専用端末を中心とした市場獲得競争が過熱しつつある。

日本は携帯市場で米国をリード

年末商戦に向けて盛り上がりを見せる米国の電子書籍市場だが、市場規模でいえば日本国内のほうがリードしている。インプレスR&Dインターネットメディア総合研究所は2009年7月に日本の電子書籍の動向に関する調査を発表した。それによると、2008年度の電子書籍市場規模の推計は464億円。前年度と比べると131%増である。そのなかで市場を牽引しているのが携帯電話向けサービスで、全体の86%を占める。これに対して全米出版社協会の調査によれば、2008年の米国の電子書籍市場規模はわずか1億1300万ドルであり、日本市場のほうが4倍以上大きいことになる。

携帯電話を中心とした日本市場のほうが大きい理由は、パケット定額制の浸透、通話料金に重畳した決済手段の普及、さらにはコンテンツの特性がある。携帯電話向け電子書籍ではコミックスが8割以上を占めている。コミックスのカテゴリのなかでも、ボーイズラブといった美少年同士の同性愛モノを含むアダルト向けコンテンツが稼ぎ頭である。

ビデオ市場もアダルトから、映画やアニメへと拡大していったように、今後はコンテンツのバリエーションも拡大していくだろう。たとえばアップル社のiPhoneに代表されるスマートフォンの登場により、文芸書を含めた一般書籍市場拡大の兆しがある。また、任天堂が2009年11月に発売した「ニンテンドーDSiLL」などの大画面の携帯ゲーム機も電子書籍端末として普及する可能性もある。

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