
2011.08
第30回 全国名物店員訪問記(1/2)
【著者:行 達也】
今回、お話を伺ったのはブックセンター湘南の千葉隆弘さんです。こちらのチェーン店は書籍・CD/DVDセル&レンタル等を扱う複合店として宮城県に10店舗を構えているのですが、今回の震災の影響で現在もその内の3店舗が休業中です。
しかし、そもそも今回、千葉さんにお話を聞こうと思っていたのは、震災によるダメージだとか今後の展望だとかそういうのではなく、複合店から見たソフトの未来について、だったのです。
さまざまなソフトを扱う店だからこそ見えてくることがきっとあるはずだと常々思っていたので。しかも千葉さんは偏りなく、どの部門においてもマーケットを凝視して、その動向をチェックしており、私が実行委員長を務める“CDショップ大賞”のミーティングにも積極的に参加されています。この人に聞けば、何かヒントが得られるかも!と鼻息荒く臨んだわけですが、いざお会いするとやっぱりその話になってしまいました。
-震災後のユーザーの変化ってありますか?
「まず、運営する我々が安否確認から始めて、例えば同じ地域のチェーン店、スクラムの伊藤さんとも連絡を取り合ったりして、最初は仕事どころじゃなかったです。日々の生活もままならないし、いろんな不安もあってお互い元気のない時期もありました。それでも我々は津波が直撃するような甚大な被害はなかったので、数週間でほとんどの店が再開することができて本当に良かったと思います。」
-それでも店内の商品の破損は酷かったんじゃないですか?
「そうですね。棚が倒れてほとんどの商品がダメになってしまったのですが、そのあたりは損害保険が適用されて問題なかったのですが、それよりも私たちを不安にさせたのは“果たしてお客様はお店に戻ってきてくれるのだろうか?”ということでした。で、実際に再オープンして驚いたのですが、あの頃、ガソリンの供給もままならなくて、不便極まりなかったのに、遠方から自転車だったり、わざわざ歩いて来店してくださるお客様が多かったんです。」
-それはCDを買いにですか?
「もちろんCDを買いにいらっしゃるお客さんも多かったのですが、一番多かったのは雑誌ですね。とにかく情報が欲されていたんだと思います。で、実際のところ宮城県は3/11以降、約1ヶ月に渡って配送が止まってしまって、雑誌の入荷はこの間なかったんです。それでもお客さんは“もしかしたら新しいのが入ってるかもしれない”っていう思いで続々と来店されたワケです。だからお店はオープンしてるんだけど、肝心の商品がないという状態が続いたのです。」
-お客さんは何のCDを買いに来るんですか?
「CDも雑誌・書籍と同じく、新譜が入ってこないので、それでも震災の被害でCDやレコードが聴けなくなってしまったお客さんが旧譜を買い直しにいらしたりすることが非常に多かったです。買っていただくことはありがたいのですが、何とも複雑な心境ですね。」
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