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第16回 全国名物店員訪問記(3/3)

【著者:行 達也】

-ペットサウンズさんのすぐそばには高校があります。学校帰りに自分もよく地元のレコード屋に寄ったものです。そのあたりはどうなんでしょうか?

「ごく少数ですね。今の若い子たちが大変だと思うのは、大きいものに飲まれがちな時代なんですよ。少数派で、自分の好きなものとは違うんだって思っている人たちはいるんですけども、これだけネットが発達している時代なのに、なかなか同胞が見つけられない。学校のクラス40人がいて、こういう音楽やミュージシャンを好きなのは自分ひとりしかいない、そう思っちゃっている人が多いんじゃないかと思いますね。仲間がなかなか見つけづらい、というか。昔のほうがありましたね。ここって受験校なんですよね。昔は高校生のお客さんが多かったんですけど、だんだん、一般的に言われる年齢層が上がっているのがわかります。

あとは、レコードからCDになったのが、けっこう地元のレコード屋さんから人が離れていったんじゃないかって分析しているんです。レコードを持って帰ってくるってのは、ジャケットが折れちゃったり、嫌じゃないですか。CDになるとカバンに入る、折れる心配もないからターミナルの大型店で買える。レコードは地元で買うってのが昔は絶対あったんですけど。CDからレコードに変わるときに、ちょうど大型店がどんどん進出してきたってのもあると思うんですけど。形が変わったことで、人々が購買する形も変わったんじゃないかと。僕らの頃は、レコードを買ったら、近くの喫茶店入って裏表じっくり見て、解説も読んでっていうのがあったんですけど」

-最後にどんどん厳しくなっていくパッケージビジネスに関してご意見を伺いました。

「出す側の人が、パッケージは絶対になくさないでほしいと思うんですよね。やっぱり、レコード会社のほうが、大きな成功ばっかりに目が行っちゃって、いいものを発信していこうっていうのが薄れていると思うんです。自分たちがいいと思うものを、自信を持って出してほしいですね。あとは過去の遺産ですね。新人を発掘するのも大切ですけど、レコード会社にたまっているいいものを、しまっておくんじゃなくてちゃんと出してほしい。そういう意味でも、自分の会社に何があるかわかっている社員の育成であるとかも大事になってくると思うんですよね。外部の人に、「おたくの会社にこういうのある」「じゃ出しましょう」じゃなくてね。自分の会社になにがあるのかくらい知ってほしい。他の業種で、そんなことありえないでしょ。新製品だけ売ればいいんじゃなくて、自分たちの会社を大きくしてくれたものがあるんだったら、それをきっちり売っていきましょうよ。それをきちんと出して行くだけでも、業績は上がると思うんですが、しまいっぱなしにしている。「売れない」のラインを高くしすぎている気がするんですよ。経費がかけられないなら、そのへんうまく計算して、とにかく商品としてきちんと出していく。昔はレコード会社にデザイン部があって、デザイナーにお願いしなくても、ジャケットをつくっていたわけじゃないですか。ハードルを何万枚って高くしすぎてますよね。何十万枚も売れないかもしれけど、2000~3000枚売れるものをいっぱい持っていれば強いわけじゃないですか」

【行 達也】
1968年大阪生まれ。長年勤続したタワーレコードを退職後
2004年東京下北沢にmona records(モナレコード)を開店。
CDショップにカフェ、ライブスペースを併設した小さな音楽総合施設を目指す。
http://www.mona-records.com

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