
2010.04
Vol.136(1/3)
【著者:おすぎ】
「第9地区」、「息もできない」、「プレシャス」
早いと判っていても〝本年度ナンバー1〟「第9地区」
「アバター」が世界で〝バカ当り〟しているのに不満では無いけど、米アカデミー賞は「よくやった!!」と拍手をおくりました。映像技術はスゴイと思うけれど映画的には少しも優れていなかったので、「ハート・ロッカー」にオスカーがいったのは会員たちの見識だと思います。まあ、キャスリン・ビグローが腕をあげたのもいい結果になったのだろうし、〝世の中3Dだぁ!!〟とバカみたいに言いつのっている輩にはいい気味だと思いました。でも私は、作品賞はピーター・ジャクソンがプロデューサーをし、南ア出身の映像作家ニール・ブロムカンプ(なんと撮影当時29歳)を監督に据えた「第9地区」にあげたかった。とにかく早いと判っていても〝本年度ナンバー1〟にしてしまったくらいでありますから、なんとしてもオスカー受賞して欲しかったのです。まあ、ノミネートされただけでも充分話題になった、いえ、噂によると「第9地区」を作品賞にノミネートするためにノミネート数を例年の5本から10本にしたらしいので、この手の快作が好きな人はアカデミー会員にもいたということが嬉しい。
映画が始まってスクリーンに映し出される映像にド肝を抜かれてしまいました。南アフリカの都市ヨハネスブルグの上空に巨大な宇宙船が浮んで、停止しているではありませんか。28年前に飛来して、止ったまま動かない、という話がドキュメンタリー風に展開していきます。各界の専門家たちがカメラに向って何があったかをコメントしていくので、徐々に何が起きたのかが判っていきます。宇宙船の中には体力の弱ったエイリアンが何10万といて、南ア政府は、これらを〝宇宙船に乗った難民〟と位置づけて、ヨハネスブルグの〝第9地区〟と呼ばれる場所に仮設住宅を建て、住まわせることに…。それから28年たち、エイリアンたちは〝エビ〟と呼ばれ市民からは蔑まれるようになり、南ア政府は〝第9地区〟の管理を軍事企業であるMNU(マルチ・ナショナル・ユナイテッド)社にまかせることに…。しかし〝第9地区〟は次第にスラム化していき、MNUは郊外の〝第10地区〟に〝エビ〟たちを移そうとします。このプロジェクトの現場責任者になったのがヴィカス(シャルト・コプリー)という男だった。ヴィカスは〝第9地区〟に入って手続きをしている最中〝謎のウィルス〟に感染してしまう…。ここから、俄然、映画は面白くなります。MNU側はヴィカスを捕えて、ある実験をしますが、ヴィカスは逃げ、〝第9地区〟に入り、そこで〝エビ〟の科学者クリストファーと出会います。MNUは軍隊を出動してヴィカスと〝第9地区〟に住むエビたちを襲います。謎のウィルスの正体は…、クリストファーの目的は…、果してヴィカスは生き残れるのか…。戦争映画になり、サスペンスになり、ラスト、ワンシーンは一大ロマンに変身するスゴイ映画、必見の一本なのです。
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